会社に知られずに転職活動するポイントとは?
時代の変化や終身雇用の衰退により、転職を経験する人の割合は年々増えています。
しかし、転職をする上で心配なことの一つは、転職しようとしていることが会社に知られてしまうこと。
会社に転職しようとしていることが知られてしまうと、気まずくなったり、仮に転職できなかった時に昇進ができなくなったりする可能性があるなど、さまざまなリスクがあります。
この記事では、自身のキャリアを守るために、転職活動をする上で気をつけるべきポイントを解説します。
2人に1人が転職をする時代。前向きな理由で転職する人が増えた背景
与信管理サービスを手がける企業による20~60代の社会人男女500人を対象にした「転職事情に関するアンケート調査」では、転職の経験がある人が56.6%と、経験がない人の43.4%を上回り、2人に1人は転職を経験していることが分かりました。
また、転職理由に関しては、2013年以降「より良い条件の仕事を探すため」が増加傾向で推移しており、2019年は127万人と、2002年以降で過去最多を記録しています。
このように、前向きな理由で転職する人が増えた背景には何があるのでしょうか。
時代の変化に対応するため
IT技術の発達により、技術革新のスピードが早くなり、グローバルな競争も激化しています。
どれほどの大手であっても、倒産やリストラの対象となるリスクはゼロではありません。
変化の激しい時代を生き抜くために、一つの会社でしか通用しないスキルを持たないことは、むしろリスクになります。
会社に頼るのではなく、自ら高いスキルを求めて、次の段階に進むというキャリア重視の転職者は今後も増加するでしょう。
終身雇用の衰退
終身雇用は戦後の高度経済成長期には成立しますが、現在の少子高齢化社会においては、企業の人件費が増加し、限界を迎えてしまいます。
終身雇用の衰退に伴い、1つの企業で生涯働き続けることに対して危機感を感じ始める人が増えたことも原因の一つでしょう。
納得のいく転職をするために。在職中に転職活動をするメリット
転職を希望する場合、現在の会社を辞めてから転職活動を行うのか、在職しながら活動を継続するか迷うかもしれません。
在職しながら次の会社を探すメリットは以下の通りです。
1.収入が途切れない
在職していれば、毎月給与が入ってくるので、生活面での不安感から解消されます。
安定した収入があるため、転職先をゆっくり検討できますし、万が一、最適な転職先が見つからなかったとしても、在職しながら次の機会を伺うことができるでしょう。
2.職歴にブランクが発生しない
職務経歴にブランクを作らずに転職活動を行える点もメリットでしょう。
短期間のブランクは問題ありませんが、職務経歴に長い空白期間があると、イメージダウンに繋がる可能性もあります。
短期留学や資格取得など前向きな理由ではなく、転職活動が長期化した場合には疑念を抱く担当者もいるかもしれません。
3.現職と比較しながら企業を選べる
現職の状況と比較しながら具体的なイメージを持って転職先の候補を冷静に検討できます。
転職活動を通して、客観的な視点から今の会社の良さを発見し、前向きな気持ちで働き続けるきっかけになるかもしれません。
金銭的に余裕がない場合や少しでも転職に迷いがある人は、現在の会社をすぐに退職するのではなく、在職しながら転職活動をする方がメリットが多いでしょう。
知られたらクビになる?在職中に転職活動をするリスクとは。
在職しながらの転職活動はメリットも多いですが、会社に知られてしまったらクビにされるのではないかと心配になる人もいるかもしれません。
しかし、日本では憲法により「職業選択の自由」や「退職の自由」が認められているため、転職活動をしていることが勤務先に知られたとしても、それだけでクビや懲戒処分になる可能性は低いでしょう。
ただ、以下のような場合にはリスクがあるため注意が必要です。
就業規定に「勤務中の転職活動は禁止」と定められている場合
一般的に、日本では「職業選択の自由」があるため、就業規定で「勤務中の転職活動は禁止」と定められていたとしても、裁判では無効になり、転職活動をしたことで従業員をクビにすることはできません。
しかし、業務中に転職活動をして仕事の能率が著しく低下したり、営業と偽って面接を受けるなどの規則違反を犯し、再三の注意を聞き入れなかった場合は懲戒解雇になる可能性があります。
転職活動に会社の設備を利用した場合
在職中の転職活動は問題ありませんが、会社のPCや電話を使用して転職活動をするのは違反。
会社の所有物を私的に利用することは「窃盗罪」にあたり、それを理由に解雇させる可能性があります。
1度利用しただけで即解雇ということはありませんが、パソコンはログを取られているため、会社は閲覧履歴など全て把握しています。
長時間のアクセスや長期に渡って利用していた場合は懲戒解雇になるかもしれません。
パソコンや電話だけでなく、コピーやファックスも対象になるので注意しましょう。
在職中の転職活動!クビにならないために注意すべきポイント
一般的に、退職理由には「自己都合」と「会社都合」があります。
「会社都合」のなかでも、倒産などにより「整理解雇」された場合など、本人に非がなければマイナス評価されることはありません。
しかし、会社に不利益をもたらしたことによる「懲戒解雇」だった場合、「能力不足や勤務姿勢を理由に解雇された人物が活躍できるのだろうか」という疑念を持たれてしまうので、転職活動に不利になってしまう可能性があります。
在職中の転職活動で「懲戒解雇」にされないためのポイントをまとめました。
1.応募先企業と会社のPCを利用してやり取りしない
応募先企業の担当者とのやりとりは、会社ではなく個人のアカウントを利用するようにしましょう。
また、今のプリンターは、誰が、何を、どのくらい印刷したかが記録されるシステムになっているので、履歴書などを会社のプリンターで印刷する場合には注意が必要です。
自宅にプリンターがない場合は、コンビニなどを利用して印刷しましょう。
2.転職で使用する書類をPCに保存しない
転職活動中の履歴書を会社の共有フォルダに保存した場合、そこから転職活動をしていることが発覚するケースもあるようです。
共有フォルダだけでなく、会社のパソコンに応募書類などを保存するのも危険。
上司や同僚が個人のPCデータを盗み見るのは望ましい行為ではありませんが、発覚してしまうと会社に居づらくなってしまう可能性があります。
会社のPCを利用して履歴書を作成したり保存するのはやめましょう。
3.就業時間中に転職活動をしない
在職中の転職活動は、業務終了後や休日の利用をおすすめします。
業務時間は誠実に働く義務があり、職務に専念しなければいけません。
仕事が残っていて残業命令がでたのに、命令に背き退社した場合も契約違反になります。
転職活動が原因で職務を怠慢したとして、懲戒処分になるケースもあるので、就業時間中は業務に専念しましょう。
4.社内で転職に関する相談をしない
転職活動をしていると、どのような企業が自分に合っているのか、志望動機はこれで良いのかなど悩みはつきものです。
しかし、どれほど仲が良く信頼できる上司や同僚であったとしても、転職に関する相談などはしないほうが良いでしょう。
社内でパワーハラスメントを受けているなど、余程の理由がない限り、現在の会社で一緒に働く同僚や上司は、転職を快く思わないからです。
転職するかもしれないという噂が広がる可能性もあるため、転職先が決まるまでは内密にしましょう。
5.SNSに転職活動を匂わせる投稿をしない
社内では転職活動をしていることを秘密にしていても、TwitterやInstagramなどのSNSで活動の状況をつぶやいたり、面接の感想を公開したりする人が増えています。
フォロワーに会社関係者がいないと判断した上で公開しているのかもしれませんが、上司や同僚に知られる可能性はゼロではありません。
確かに、鍵付きアカウントであれば不特定多数の人にバレることはありませんが、フォロワーの誰かが職場の誰かと面識があれば、そこから転職活動をしていることが拡散されてしまう可能性があります。
在職中の転職活動に関してはSNSでつぶやくのではなく、手帳や日記、個人のメモ帳などに記録しましょう。
6.転職エージェントを利用する
現職の仕事と転職活動を両立するために、転職エージェントを利用するのもおすすめです。
応募先企業とのやりとりをアドバイザーが行なってくれるため、仕事への支障はほとんどありません。
また、転職活動では企業研究に多くの時間を費やしますが、担当者は企業の内部情報に詳しく、企業側が求めている人物像も把握しているので、ネットでは検索できない生の情報を教えてもらうことも可能です。
内定をもらったあとも、給与交渉や入社日の調整、円満退職するためのアドバイスがもらえるので転職活動が円滑に進みます。
転職に関する悩みや不安は、会社の関係者ではなく、転職エージェントの担当者に相談しましょう。
終わりに
IT技術の発達により、技術革新やグローバルな競争は熾烈を極め、どれほど大手企業であっても倒産やリストラの危機にさらされる時代になりました。
日本特有の終身雇用が衰退するなかで、会社に頼らず自らのキャリアを重視したポジティブな転職活動を行う人が増えています。
転職活動が会社に知られたとしても、日本では憲法により「職業選択の自由」や「退職の自由」が認められているため、即座にクビになることはありません。
ただし、就業規定で「勤務中の転職活動は禁止」と定められているにも関わらず、再三の注意を無視したり、会社の設備を転職活動に利用した場合は「窃盗罪」で懲戒解雇される可能性があります。
業務時間内の転職活動は避ける、会社の設備は一切利用しない、転職先が決まるまで社内の同僚や上司には口外しないなど、周囲に充分注意した上で転職活動を行いましょう。
転職による新たなチャンスを掴むためにも、在職中は周囲への細心の配慮を怠らず、就業時間中は業務に専念することをおすすめします。
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